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薬膳料理の食材選びと調理法のポイント

あちこちで耳にする「薬膳料理」。体に良さそうだなと思う反面、薬くさいのでは?本当に美味しいの?など、疑問を感じる方もいらっしゃるでしょう。それに、薬膳料理を作ろうと思っても、どんな材料を使ったら良いのか、どのように調理すれば良いのか、など考えてしまいますね。薬膳という言葉が、難しい印象を与えてしまっているのですが、日々の食事にちょっとした工夫を加えるだけで薬膳になります。食材選びと調理法に役立つポイントをご紹介しますので、普段の料理に薬膳のエッセンスを加える参考にしてみてください。

Q. どんな風に食材を選べば良いの?
A. 食材の「五気(ごき)」と「五味(ごみ)」を考えて選びましょう。

●五気とは?
「寒・涼・平・熱・温」の5つの性質のこと。それぞれが下記の性質をもっています。

熱:からだを大いに温める
温:熱よりも穏やかにからだを温める
平:温熱涼寒のいずれにも属さない
涼:寒よりも穏やかにからだを冷やす
寒:からだを大いに冷やす

また、からだを温める食材の性質を「温熱性」、からだを冷やす食材の性質を「寒涼性」と表現することもあります。

◆食材の五気



●五味とは?
「酸・苦・甘・辛・鹹」の5つの「味」のこと。複数の「味」を併せ持っているものも多いです。それぞれが下記の性質をもっています。

酸:酸っぱい味
収斂固渋(しゅうれんこじゅう):からだの水分(汗・尿・血液・大便など)が外に漏れ出ないよう引き締める作用

*「酸」の食材例
キウイ(酸)、苺(甘・酸)、桃(甘・酸)、ブドウ(甘・酸)、トマト(甘・酸)、みかんなどの柑橘類(甘・酸)、あずき(甘・酸)、チーズ(甘・酸)、酢(酸・苦)

苦:苦い味
通泄(つうせつ):お通じと共に余分な熱を体外に出すこと
清泄(せいせつ):余分な熱を冷まして取り除くこと
降泄(こうせつ):上昇した気を下へ降ろすこと
燥湿(そうしつ):体内にこもった湿を乾かすこと

*「苦」の食材例
苦瓜(苦)、豚レバー(甘・苦)、アスパラガス(甘・苦)、かぶ(辛・甘・苦)、おこげ(苦・甘)、オクラ(辛・苦)、らっきょう(辛・苦)、酢(酸・苦)、ターメリック(辛・苦)、茶葉(苦)、酒(辛・甘・苦)、レタス(苦・甘)、アロエ(苦)、コーヒー(甘・苦)

甘:甘い味
補益(ほえき):不足を補うこと
和中(わちゅう):からだの中央部位(主に胃腸)の働きを助けること
緩急(かんきゅう):急激な痛みを緩和すること

*「甘」の食材例
もち米(甘)、うるち米(甘)、小麦(甘)、栗(甘)、かぼちゃ(甘)、鮭(甘)、アジ(甘)、イワシ(甘)、鰻(甘)、海老(甘)、タコ(甘・鹹)、牡蛎(甘・鹹)、ホタテ(甘・鹹)、鶏肉(甘)、牛肉(甘)、豚肉(甘、鹹)、羊肉(甘)、豆腐(甘)、卵(甘)、人参(甘)、ほうれん草(甘)、キャベツ(甘)、きゅうり(甘)、ナス(甘)、小松菜(辛・甘)、玉ねぎ(辛・甘)、山芋(甘)、大根(辛・甘)、筍(甘)、じゃがいも(甘)、さつまいも(甘)、バナナ(甘)、すいか(甘)、砂糖(甘)、はちみつ(甘)、クルミ(甘)、ゴマ(甘)、牛乳(甘)

辛:辛い味
行気(こうき):気の巡りをよくすること
活血(かっけつ):血の巡りをよくすること
発散(はっさん):悪い気(邪気)を発散して体外に出すこと

*「辛」の食材例
ニラ(辛)、長ねぎ(辛)、山椒・花椒(辛)、クローブ(辛)、フェンネル(辛)、唐辛子(辛)、ピーマン(辛)、パクチー(辛)、、三つ葉(辛)、みょうが(辛)、ミント(辛)、シソ(辛)、生姜(辛)、胡椒(辛)、シナモン(辛・甘)、にんにく(辛・甘)、春菊(辛・甘)

鹹(かん):塩辛い味
軟堅散結(なんけんさんけつ): 固いしこりをほぐして塊を散らすこと
瀉下(しゃげ):通便により体内の毒や病邪を排出すること、お通じをよくすること

*「鹹」の食材例
太刀魚(甘・鹹)、ハム(鹹)、タラ(鹹)、イカ(鹹)、ムール貝(鹹)、カニ(鹹)、海苔(甘・鹹)、昆布(鹹)、ウニ(鹹)、醤油(鹹)、塩(鹹)


例えば、からだの冷えを感じる場合には、からだを温める温熱性の食材を選びます。代表的なものに生姜があります。生姜を煮たり焼いたりと加熱調理することによって、生姜のもつ温熱性が発揮されます。

ところが同じ生姜でも、すりおろした生の生姜に炭酸水と甘いシロップを加えたジンジャーエールの場合はどうでしょう?からだを温めるどころか、かえって冷やしてしまうことになります。

一方、猛暑時の夏バテのように、からだにこもった熱を冷ましたい場合は、寒涼性のスイカを冷やして食べることで、スイカ本来の機能が活かされます。

このように、食材が本来もっている働きを活かすためには、食材選びに加えて、どのように調理するのかを考えることが大切です。「五気」と「五味」をいつもの料理に活用し、食養生(※)につなげましょう。

(※)食養生とは
健康の維持・増進や体質改善、病気の予防・治療のため、
体調に応じて栄養を考慮した食事をとったり節制したりすること